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2023/01/23

【レポート】『UMITO NARIWAIワークショップ』2回目の開催、浜中漁協・厚岸漁協・昆布森漁協20〜30代漁業者・漁協職員19名が参加し、浜の課題解決に向けた議論を行う。

北海道漁業協同組合連合会(北海道ぎょれん)釧路支店(北海道釧路市)にて、1月14日(土)に2回目の『UMITO NARIWAIワークショップ』を浜中漁協(厚岸郡浜中町)・厚岸漁協(厚岸郡厚岸町)・昆布森漁協(釧路郡釧路町)の漁業者・漁協職員向けに開催しました。

「UMITO NARIWAI ワークショップ」の概要と目的:

水産資源を育む「海」と漁業者や漁村の経済基盤である「生業(なりわい)」としての漁業の双方の観点から持続可能な漁業を目指し、各地域の漁業の現状やニーズに応じて、漁業者や漁協職員等に対してUMITO Partnersが開催するオーダーメイド型ワークショップです。UMITO Partnersが各地域の漁業の状況や課題を事前にヒアリングしたうえでテーマを設定し、地域に出向いてワークショップを開催します。ワークショップで、課題解決に必要な情報の提供と、地域漁業に携わる参加者自身が解決に向けた議論を行う手助けを行うことにより、具体的なアクションにつなげることを目指します。UMITO Partnersは、漁業関係者の持続可能な漁業経営に必要な資源管理と経営における知識を高め、行動を起こすきっかけを提供することで、豊かな「海」と堅牢な「生業(なりわい)」としての漁業が共に持続されると考えています。

1回目の開催レポートはこちらから

■プログラム:

・1回目の振り返り
・世界的に高まる海藻への期待について(ブルーカーボン生態系としての海藻、海藻の多用な活用・流通 等)
・1回目の課題・必要なアクションの優先度を明らかにする
・課題解決に必要なリソースを明らかにする

■レポート

●世界的に高まる海藻への期待について(ブルーカーボン生態系としての海藻、海藻の多用な活用・流通)
参加者の多くが昆布漁に携わり、昆布が地域的にも主要な水産物であることから、海藻をとりまく世界情勢、市場からの期待や新たな流通の可能性についてUmito Partnersより情報提供を行いました。漁業にも大きく影響を与えていると考えられている気候変動に対し、海藻の役割として世界的に期待されるブルーカーボンに関する概要と、国内で漁協・漁業者が主体者となりカーボンクレジット取引に参入している事例などを紹介しました。また、世界的に多様な活用に注目が集まる海藻の市場動向や、国内外の具体的な活用・流通事例を紹介しました。参加者からは「ブルーカーボンについての理解が深まった」という意見や、「カーボンオフセットの具体的な事業モデルはどのようなものか」、「具体的な藻場再生の手法はどのように行っているのか」などのという質問が上がり、ブルーカーボンについての強い関心が示されました。また、国外で昆布が高値で取引される事に対する驚きや、昆布の地元ブランド確立に対する意欲が感じられました。昆布については、資源調査のデータ化による管理の効率化や、地域の名前がついた昆布のブランド化を希望する意見が挙がりました。

●課題・必要なアクションの優先付け
次に、浜中漁協、厚岸漁協、昆布森漁協に分かれて、グループワークを行いました。1回目のワークショップで、各漁協から挙げられた課題について、取り組みやすさや得られる効果等を指標に優先度を整理し、取り組むべき対象水産物とアクションを明らかにしました。参加者からは以下のような意見が出ました。

ブランド化を通じた水産物と地域の知名度向上
・地域別の昆布のブランド化(※釧路地域は昆布生産量一位である一方、羅臼昆布等と異なり「北海道産」「釧路産」等とまとめられ、各地域名がつかずに流通されることが多く、他の道産昆布と比べて安価で取引されている。地域ごとに異なる昆布の生態や生産方法の特徴もある中、トレーサビリティの必要性も示唆される)
・雑魚とされているコマイの認知度アップ・ブランド化
・ホッキガイのブランド化

資源管理を通じた持続的な資源の利用とブランド化
・トレーサビリティを通じた他カキブランドとの差別化と稚貝生産方法の確立(釧路地域には、異なる生産方法による複数のカキのブランドが存在する。)
・科学的知見を取り入れた昆布の資源管理強化と管理の可視化

地域問題
・観光施設の整備
・若手漁業者が協力し合える団体の設置
・綺麗な海を目指した環境保全

●課題解決に必要なリソースを明らかにする
次に優先して取り組むべきアクションを実行するために必要なリソースについて、人/組織、モノ、資金、情報に分けて検討しました。参加者からは必要なリソースとして、以下のような意見が出ました。


具体的な課題解決の方法についてお互いのアイデアを出し合う時間は、未来への期待に満ちたものとなりました。今回のワークショップを踏まえての次のステップについては、今後改めて関係者間で検討していく予定です。

■参加者コメント

2回目の事後アンケートでは「自分の漁業/漁協の業務にプラスになる情報」、「他の参加者との交流・意見交換」が得られたという感想が多く寄せられ、アンケート回答者の88%の方にワークショップの内容についてご満足いただけました。1回目よりもさらに具体的な内容で話し合いを行い、「今回のワークショップでやるべきことが明確になったので、実現に向けて行動していきたい」、「これからも周辺の漁協と切磋琢磨して活動していきたい」、「お互いの意見を検討し合える良いワークショップだった」というコメントが寄せられました。資源調査・管理の充実化や水産物のブランド化などのプロジェクトの実施をUMITO Partnersと行いたいという声や、ワークショップの定期的な開催を望む声が挙がりました。

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