レポート
北太平洋のアナゴ漁具流出源を特定:国際共同研究の結果が学術論文として発表
UMITO Partnersは、北太平洋全域における「アナゴ・メクラウナギ漁の放置・紛失・廃棄漁具(ALDFG)」の発生源を特定する国際共同調査に協力しました。その成果をまとめた論文が、学術誌『Oceanography & Fisheries Open Access Journal』に掲載されました 。
背景と調査の概要
放置、紛失、または廃棄された漁具(ALDFG)は、世界中で海洋プラスチック汚染の主要かつ増大する原因となっており、深刻な問題が発生しています。
特にハワイ諸島では、北太平洋の亜熱帯循環によって運ばれた破片が高密度で蓄積しています。中でも、東アジアで特徴的に用いられるアナゴやヌタウナギ用のプラスチック製漁具(筒状や三角錐状の仕掛け)は、絶滅危惧種であるハワイモンクアザラシなどの野生生物に深刻な被害を及ぼしています 。
本研究は、2021年から2024年にかけて北太平洋全域で収集された21,891点のアナゴやウナギ用の漁具を対象に、形状、製造刻印、ブランドマーク、付着生物、ポリマー組成などを詳細に分析する「科学的鑑識手法」を用いて実施されました 。調査には、米国、台湾、韓国、日本の研究者や市民団体等が参加しました。
調査結果のポイント
- 主要な発生源の特定:漂着した漁具の大部分は、東シナ海で操業する韓国および中国の大規模な機械化漁船団に由来することが推定されました 。
- 日本由来の漁具と震災の影響:日本、台湾、米国からの小規模な沿岸漁業からの流出寄与は限定的であることが判明しました 。特に日本由来の漁具については、2011年の東日本大震災(津波)によって流出し、北太平洋を循環し続けているものが多く含まれていることが確認されました 。
- ゴーストフィッシングの抑止に向けて:海底に沈んだ漁具が意図せず生物を獲り続ける「ゴーストフィッシング」を防ぐため、生分解性素材を用いた漁具の導入や、漁業者への教育プログラムの必要性が提言されました。
UMITO Partnersの役割
UMITO Partnersは、日本国内における主要なパートナーとして本プロジェクトに参画しました 。日本の漁業に関する基礎情報の提供、山形県由良海岸等のフィールドにおける漂着漁具の収集、データの記録および地域のステークホルダーとの連携を担いました 。
UMITO Partnersは、ゴーストギア(放置漁具)問題の解決に向けた世界最大の国際プラットフォームであるGGGIに加盟しています。今後もGGGIをはじめとする国際的なネットワークや地域のステークホルダーとの連携を深め、科学的根拠に基づいたゴーストギア問題の解決と、持続可能な海洋生態系の保全に貢献してまいります。
論文情報
- タイトル: Source Identification of Multinational Abandoned, Lost, or Discarded Fishing Gear from the Eel and Hagfish Trap Fisheries throughout the North Pacific Ocean
- 著者: Carl J Berg, 清野 聡子, 岩本 愛(UMITO partners)他
- 掲載誌: Oceanography & Fisheries Open Access Journal (2026), Vol. 19, Issue 2 DOI: 10.19080/OFOAJ.2026.19.556007
- 論文URL: https://juniperpublishers.com/ofoaj/pdf/OFOAJ.MS.ID.556007.pdf
※本プロジェクト(The North Pacific Eel Trap Project)は、Ocean Conservancyが主導する「Global Ghost Gear Initiative(GGGI)」の小規模助成プログラム(Grant SG23-GGGI-005)などの支援を受けて実施されました。
関連リリース
2025/04/17:漁業由来の海洋プラスチック削減に向けて UMITO Partners、国際イニシアティブ「GGGI」に加盟