欧州・日本・アジアの先端技術と実装基盤をつなぎ、海洋イノベーションを加速

「ウミとヒトの関係を、ポジティブにつなぎ直す」をパーパスに、海洋サステナビリティの推進に取り組む株式会社UMITO Partners(東京都中央区)と、環境再生型・脱炭素型のイノベーションに強みを持つBeyond Impact(本社:スイス モントルー)は、ブルーエコノミー(注1)分野におけるインパクト投資を通じた国際連携の強化を目的とした戦略的パートナーシップを締結しました。本パートナーシップにより、欧州・日本・アジアの先端技術と実装基盤をつなぎ、海洋レジリエンスと産業創出を両立するイノベーションの加速に取り組みます。

背景|なぜ今、ブルーエコノミー連携なのか

海洋は、経済、食料、気候、生物多様性のすべてに関わる重要な領域です。OECDは、海洋経済が2010年の約1.5兆ドルから2030年には約3兆ドルへ拡大すると見込んでいます。(注2)一方で、持続可能な海洋経済のための資金流入の不足や実証・事業化の難易度の高さ(注3)が指摘されており、イノベーションが社会実装に至らない課題が存在しています。

また、食糧生産の面でも私たちは大きな課題に直面しています。国連は、世界人口は2050年に約97億人に達し、タンパク質需要は35〜56%増加すると見込まれる一方で(注4)、世界の天然漁業の生産は年間約9,200万トンで頭打ち(注5)となっています。農地はすでに可住地の約半分を占めており、食料供給の拡大は陸上資源だけでは限界に近づいています(注6)。食料システム由来の温室効果ガス排出は世界全体の約21〜37%を占め(注7)、気候変動や海洋環境の変化が生産基盤そのものに影響を与えています。

こうした中で海洋分野では、従来の「とる・使う」中心の資源採取型モデルから、技術を活用して持続可能性を高める再生型(リジェネラティブ)モデルへの転換が求められています。

海洋分野において形成されつつある再生型の新たな産業と市場例:

  • 高機能原料を供給するBtoB型代替タンパク質プラットフォーム
  • 持続可能な供給を実現する次世代養殖システム
  • 飼料・タンパク質・工業用途に展開される藻類・微生物生産基盤
  • 医薬・素材・栄養分野に応用される海洋バイオテクノロジー
  • 低炭素燃料や船舶効率化などの海運脱炭素技術
  • 港湾の電動化や環境モニタリングなどのインフラ・データ基盤
  • 海洋カーボン除去や生物多様性回復などの自然資本関連ソリューション

本パートナーシップは、欧州の先端技術と日本・アジアの実装基盤をつなぐことで、この転換を後押しし、海洋分野でのシステムチェンジにつなげることを目的としています。

「緩和(mitigation)」から「新たな価値創出(additionality)」へ

海洋は環境、産業、制度が複雑に重なる領域であり、多様な関係者の連携が不可欠な領域です。欧州には海洋ディープテック(注8)や研究開発の蓄積がある一方で、実証・事業化の機会は限定的であり、日本およびアジアには漁業や沿岸産業といった実装基盤が存在する一方で、先端技術や国際的なネットワークとの接続が十分ではありません。

UMITO Partnersは、日本各地の漁業者や沿岸地域、企業、自治体と向き合う中で、急速に変化する海洋環境と、それに伴う地域経済・産業への影響に現場で直面してきました。資源管理や規制の強化は重要な手段である一方で、この変化のスピードに対しては十分ではなく、産業構造そのものを変えるイノベーションが不可欠であるという認識に至りました。

Beyond Impactは、欧州で再生型・脱炭素型・アニマルフリー分野の技術や企業成長支援に取り組んできた実績を持ちます。両社は、それぞれの知見を掛け合わせることで、「技術・現場・市場」をつなぐ実装モデルを構築し、海洋へのインパクトを「緩和(mitigation)」から「新たな価値創出(additionality)」へと進化させることを目指します。

パートナーシップの内容

本パートナーシップでは、海洋分野における技術・産業・実装基盤の接続を具体化するため、以下の取り組みを進めます。

  • 欧州・日本・アジアの海洋スタートアップと産業基盤の接続
  • 海洋分野における技術動向および市場機会の共同分析
  • 実証・事業化に向けたパートナーシップの組成支援
  • 国際的なネットワークを活用したエコシステム構築

これらを通じて、海洋分野におけるイノベーションの社会実装を加速させます。

今後の展望

UMITO PartnersとBeyond Impactは、本パートナーシップを通じて、欧州と日本・アジアを横断するブルーエコノミーのエコシステム構築とその一環としてインパクトファンド「Blue Frontier Fund」を企画します。

フードテック、バイオテクノロジー、オーシャンテック、クリーンテック、気候関連技術など、海洋の課題解決に向けた海洋ディープテックの分野で社会実装を加速し、これにより、新たな産業の創出と市場形成を促進するとともに、経済成長と海洋環境保全の両立を目指し、持続可能でレジリエントな海洋経済への移行を推進していきます。

メディア向け説明会のご案内

パートナーシップ開始に伴い、メディア関係者限定のオンライン説明会を開催します。

  • 日時:2026年5月19日(火) 15:00〜16:00
  • 形式:オンライン開催(Zoom)
  • 対象:国内外メディア
  • 内容:UMITO Partnersよりパートナーシップの詳細と今後の展望について、及びQ&Aセッションを通じて、ブルーエコノミーやインパクト投資の最新情報をお届けします。

参加をご希望の方は、こちらのGoogleフォームよりお申し込みください。

コメント

UMITO Partners CEO 村上春二

海洋環境は急速に変化しており、私たちの生活や産業の基盤そのものに影響を及ぼしています。その変化に対応するには、従来の管理や規制に加え、新たなイノベーションによる解決が不可欠です。私たちが海とポジティブに関わり続けるためには、経済成長という社会需要と海洋環境保全を両立させる新たな産業構造を構築する必要があります。

Beyond Impact CEO Claire Smith
「Ocean innovation is entering a phase where scientific breakthroughs must translate into scalable industrial solutions. Through this partnership with UMITO Partners, we are connecting Europe’s deep tech ecosystem with Asia’s ocean industries, creating a platform that can accelerate real-world implementation and systemic change.」

注1|ブルーエコノミー 海洋資源を持続可能に利用しながら、経済成長、雇用、生活を支え、海洋生態系の健全性を守る考え方 (出典:World Bank):https://www.worldbank.org/en/news/infographic/2017/06/06/blue-economy

注2|海洋経済の成長見通し 海洋経済が2010年の約1.5兆ドルから2030年には約3兆ドルへ拡大すると試算 (出典:OECD 2016):https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2016/04/the-ocean-economy-in-2030_g1g6439e/9789264251724-en.pdf

注3|海洋分野の資金不足 持続可能な海洋経済の実現に向けて、資金が大きく不足していることを指摘(出典:World Economic Forum):https://www.weforum.org/publications/sdg14-financing-landscape-scan-tracking-funds-to-realize-sustainable-outcomes-for-the-ocean/

注4|世界人口と食料需要 国連は、世界人口が2050年に約97億人に達すると推定。また、2050年に向けてたんぱく質需要はシナリオにより35〜56%増加するとの分析。(出典:United Nations / van Dijk et al., Nature Food (2021)):https://population.un.org/wpp/ https://www.nature.com/articles/s43016-021-00322-9?utm_source=chatgpt.com

注5|農地制約 農地や水資源には限界があり、農地拡大だけで食料需要の増加に対応することは難しい(出典:FAO 2011):https://openknowledge.fao.org/server/api/core/bitstreams/0dda22d4-41fa-4c16-9090-55ade8cadf66/content

注6|天然漁業生産の現状 2022年の世界の天然漁業生産量は約92.3百万トン(出典:FAO SOFIA 2024):https://openknowledge.fao.org/server/api/core/bitstreams/9df19f53-b931-4d04-acd3-58a71c6b1a5b/content/sofia/2022/capture-fisheries-production.html

注7|食料システムと温室効果ガス 食料システム由来の温室効果ガス排出が世界全体の21〜37%を占めうると整理(出典:IPCC ):https://www.ipcc.ch/report/ar6/wg3/chapter/chapter-7/

注8|海洋ディープテック 本リリースでは、海洋と接点を持つ高度な技術領域(例:次世代養殖、海洋バイオテクノロジー、海洋データ・モニタリング、海運の脱炭素技術など)を指します。

Important Notice

本プレスリリースは情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品、有価証券、または投資機会への勧誘、募集、推奨を目的とするものではありません。また、本リリースに関連する投資スキームや金融商品は、現時点で設立されていません。

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