【リリース】UMITO Partnersが支援する岡山県「邑久かき」サステナブルな漁業の世界的な成功事例“条件なしのMSC漁業認証”として年次監査完了
〜持続可能な漁業の国際規格「MSC漁業認証」取得を背景に、若手漁業者の増加などの効果も〜
「おいしい漁業が、続く社会を。」をコンセプトに、海と漁業のサステナブルを推進する株式会社UMITO Partners (本社:東京都千代田区、代表取締役:村上春二)は、2019年よりMSC漁業認証の取得と継続した年次監査を科学的側面からサポートしている岡山県邑久町漁業協同組合の「邑久かき」が2023年8月に3年連続となるMSC漁業認証の年次監査を完了したことをお知らせします。また、認証取得から3年目となる本年の年次監査では、サステナブルな漁業における世界的な成功事例の基準とされる「条件なしのMSC漁業認証」として認定されました。
UMITO Partnersは今後も、MSC漁業認証やASC養殖業認証の取得支援、またサステナブルな漁業を目指し活動する漁業者と飲食店や企業とのマッチングなどを通して、ヒトとウミの豊かな関係を推進します。
MSC漁業認証について
MSC漁業認証を取得した漁業は、持続可能な漁業という点において、国際的に最良な漁業基準を満たしていると証明されます。認証を取得した漁業で獲られた水産物で、MSC漁業認証、CoC認証に則り管理された水産物には、消費者への目印としてMSC「海のエコラベル」を付けることができます。漁業が認証を取得するためには、独立した審査機関による厳格な審査が必要となります。
取得に関しては、漁業認証規格の3原則に対して28の業績評価指標があり、各項目において最低でも60点レベルの要求事項を満たし、原則ごとの平均点は80点を超える必要があります。80点は世界的な成功事例、100点は最高水準を示しています。60点以上〜80点未満の項目がある場合は、原則5年以内に80点のレベルにまで業績を改善するための改善措置が求められ、条件付きの認証となります。本年度の年次監査を経て、岡山県の「邑久かき」は改善が完了し、改善する点がない状態である“条件なし”の評価を受けました。
■MSC漁業認証採点のしくみ
(MSC漁業認証ガイドより引用 :https://onl.bz/8fJFvLE )
岡山県邑久町の牡蠣について
筏(いかだ)に縄を吊るして育てる垂下式の漁法をとる邑久町漁協では、水質や生態系への影響をモニタリングし、環境収容力を越えない範囲で筏の数を維持しています。量よりも質や海の環境を含めた持続性へと、舵を切り替えています。
邑久町垂下式カキ漁で「MSC漁業認証」を取得するまでのプロセス
昔からカキ養殖で有名な漁場で、瀬戸内海に面する小さな町、邑久町。消費量の減少や後継者不足に悩まされていたこともあり、国際的な認証を強みにしようと画策したことが始まりでした。2019年にカキの加工・販売を手掛ける(株)マルト水産が主導し、提携先の邑久町漁協と連携し、MSC漁業認証の取得を視野に入れたカキ漁のサステナブル漁業プロジェクトをUMITO Partnersサポートのもと開始しました。
UMITO PartnersではMSC漁業認証の予備審査の結果をもとに、底生生物や水質のモニタリング調査手法や調査場所の特定、スナメリやアカウミガメに遭遇した際に記録する記録書の作成等、専門的なアドバイスを実施し、認証取得に向けた準備を行いました。同年12月にカキの垂下式漁において世界で初めてMSC漁業認証。通常、本審査から認証取得まで最大18ヶ月かかりますが、7ヶ月で認証取得に成功しました。翌年には若手の漁業者(MSC認証の牡蠣出荷者)の数が13人から30人へと増加し、チームが結成され自主的な資源管理を考案・実施するなどの変化も表れています。
邑久カキのMSC認証に関してはこちら
若手漁業者による継続的な資源管理の取り組み
2019年の取得を機に、MSC認証取得に携わった若手漁業者による資源管理を自主的に行うチームが結成され、毎年の年次監査に向けて操業中に遭遇した絶滅危惧種であるスナメリの遭遇記録や、筏の下の底質状況を知るための底生生物の定期的なサンプリングなどを漁業と並行して実施しています。新規就漁者なども率先して活動に加わるなど、邑久町漁協の1つの特色にもなっています。今回その活動が実を結び、「MSC漁業認証」の条件なしでの年次監査完了に至りました。
▶︎MSC認証取得後の邑久町漁協での変化のストーリーはこちら
MSC漁業認証の取得を推進する関係者のコメント
邑久町漁業協同組合 組合長 松本正樹
環境に配慮し、漁業規模など定められたルールを守り行うこと。持続可能な垂下式カキ養殖漁業に欠かせないのは、海を守り次世代につなげていく漁業者たちの強い意志とチームワークです。自分たちが何をすれば海を守れるのか?海を知り、変化をいち早く察知、情報発信し、行動を起こしていくことが海で生きる漁業者の使命と考えています。MSC漁業認証は、海を守る漁業者たちを守るための国際認証であり、マークを通じて漁業者たちの取り組みを知ってもらうことが私たちの大きな励みになります。
株式会社マルト水産 副社長 花田恭孝
MSC認証を受け弊社では新規販路が広がっています。サステナブル商品を積極的に扱う量販店や飲食店の他、先進的な当産地と交流を深めたいと思っておられる方々、その他サステナブルをキーワードに育った子どもたちが消費者になる事を見据えて商品づくりを行うお客様。弊社の位置づけはこういったお客様と漁師さんを繋げて牡蠣生産が持続できる環境・パイプ作りが重要と考え、今後も活動を続けて行きたいと考えています。
株式会社UMITO Partners 代表 村上 春二
欧米市場の大多数の量販店・ホテルが優先的に調達するMSC漁業認証。日本市場でも需要は高くなっている一方、認証取得プロセスにおける専門的な課題解決の必要性や技術的言語の壁、そして英語を基本とした審査プロセスなど取得への道のりは簡単ではありません。実はとても素晴らしい取り組みをされているにも関わらず、それらの壁を感じる事で伝えそびれてしまい不本意な審査結果になる事もあります。生産現場の想いと実態を現場目線で理解をし、MSC認証取得における専門家として取得を目指す方々をサポートしていきたいと思います。
UMITO Partnersの取り組みについて
「ウミとヒトが豊かな社会の実現」をビジョンに掲げ、海洋・水産科学博士で構成される科学調査分析部と事業開発営業部で事業を行っています。サステナブル漁業プロジェクトやMSC漁業認証・ASC養殖業認証取得支援を始め、生産現場向けワークショップや流通支援、そして地域サステナビリティのブランディングなど、環境・経済・社会のバランスが取れた持続可能(サステナブル)な漁業・養殖業への転換と海の持続性を推進しています。(URL: https://umitopartners.com/)
■支援プロジェクト
・北海道苫前町ミズダコ樽流し漁業改善プロジェクト(FIP)
・岡山県瀬戸内市邑久町垂下式カキ漁のMSC漁業認証取得支援
・広島県倉橋島垂下式カキ漁改善プロジェクト(FIP)※1
・北海道マイワシ漁業改善プロジェクト(FIP)
・宮城県気仙沼ヨシキリザメ・メカジキはえ縄漁業改善プロジェクト(FIP)
・千葉県船橋市東京湾スズキまき網漁業改善プロジェクト(FIP)
・熊本県天草市マダイ養殖業改善プロジェクト(AIP)/ ASC認証取得支援
・和歌山県那智勝浦町ビンチョウマグロはえ縄漁業改善プロジェクト(FIP)
・宮城県女川町ギンザケ養殖業改善プロジェクト(AIP)/ ASC認証取得支援
・UMITO NARIWAIワークショップ第一弾 浜中漁業協同組合・厚岸漁業協同組合・昆布森漁業協同組合と実施
・UMITO NARIWAIワークショップ第二弾 根室漁業協同組合、歯舞漁業協同組合、落石漁業協同組合、根室湾中部漁業協同組合と実施 ※2
会社概要
■会社名:株式会社UMITO Partners
■所在地:東京都千代田区神田西福田町4-5
■代表:村上春二
■設立:2021年6月1日
■事業内容:
・ 水産国際エコラベル認証コンサルティング事業
・ 水産物に関する流通事業コンサルティング、及び流通支援
・ 水産物と漁業に関するPR・ブランディング事業
・ 経営・事業コンサルティング、及び実行支援
・ 漁業を通じた地域のPR・ブランディング事業、及びコンサルティング事業
・ サステナビリティに関する研修、セミナー、シンポジウム、イベント等の企画運営、及びそれらに関するコンサルティング事業
・ 海洋・水産科学における調査・分析・研究事業、及び調査研究プロジェクト運営
※1:サステナブル漁業プロジェクト:漁業改善プロジェクト(FIP:Fishery Improvement Project)というサステナブルな漁業や養殖業を目指し、持続可能性における課題解決を計画的に取り組むプロジェクトを指します。グローバルマーケットにおいて欠かすことのできないビジネス条件の一つとなっており、国内市場においても需要は高まってきています。
※2: UMITO NARIWAIワークショップとは、各地域の現状やニーズに応じてオーダーメイドで設計し、地域に出向いて漁業者や漁協職員等に対して開催する参加型ワークショップです。水産資源を育む「海」と、漁業者や漁村の「生業(なりわい)」としての漁業の両方の持続可能性の実現を目指します。 ( https://umitopartners.com/works-cat/workshop/ )
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