JA / EN
YouTube Instagram
2023/12/12

【レポート】9/30 〜サステナブルな漁業について学ぶ〜 FOOD&COMPANYが運営する食のコミュニティ『NeighborsCLUB』にてオンライン・トークイベントを開催(第2回)

FOOD&COMPANYによるオンラインストアNeighbors (ネイバーズ)が展開するコミュニティ型オンラインストア「Neighbors CLUB(ネイバーズクラブ)」。生産者をはじめとする”Neighbors”とともに、おいしい学びを追求する会員制の食のコミュニティです。

今回、Neighbors CLUBでは、UMITO Partnersがサポートするサステナブル漁業プロジェクトおよびサステナブルに取り組む漁業によって漁獲された水産物3種を販売。その販売に合わせて、生産者と消費者が直接会話し、持続可能な漁業について学ぶオンライン・トークイベントが開催されました。 Neighbors CLUBとの取り組みについて詳しくは、下記のプレスリリースをご覧ください。

【プレスリリース】
・UMITO PartnersとFOOD&COMPANYが、水産資源と漁業のサステナビリティを調達で応援する企業パートナーとして協業開始。〜おいしい学びを追求する食のコミュニティ「Neighbors CLUB」第一弾の企画において、サステナブルな漁業を目指す生産者と消費者が直接繋がる機会を提供〜

開催背景

「普段オンラインストアでは伝えきれないリアルな生産背景や現場の課題を、作り手、売り手、買い手など様々な立場の人が、たのしく、おいしく学ぶ場所をつくりたい」というNeighborsの想いからスタートした「Neighbors CLUB」。そうした場の創出を目指して企画されたのが、サステナブルな漁業に取り組む生産者の水産物の定期購入便とセットになった今回のオンライン・トークイベントです。漁業の持続可能性とは何かについて、生産者と消費者との対話を通じて学び、考える機会として開催されました。

イベント プログラム

開催日時:2023年9月30日(土)18:00〜19:30

ナビゲーター:FOOD&COMPANY/盛岡絢子さん
ゲスト:北海道苫前町・漁業者/小笠原宏一さん
パートナー:UMITO Partners/岡本

第一部:海のいま(前回のおさらい)+ 持続可能な水産資源の管理とは(UMITO Partners)
第二部:ミズダコ漁師・小笠原宏一さんの取り組みについて(小笠原宏一さん×UMITO Partners)
第三部:質疑応答

レポート

Neighbors CLUBが提供する「漁師さんから海の幸をお届け!サステナブルな海の魚と食を学ぶ3ヶ月定期便コース」は、サステナブルな漁業を目指す漁業者たちから新鮮な海の幸(北海道根室 しまえび/北海道苫前 ミズダコ/千葉県船橋 すずき)が毎月1種類届く、食の体験型プログラムです。

第二回目のオンラインイベントは、第2弾・ミズダコ(北海道苫前)の漁業者である小笠原宏一さんをゲストに迎えて開催されました。

第一部

第一部では、UMITO Partnersから『海のいま』をテーマに、「世界と日本で水産資源の実態がどうなのか」「どういう課題があるのか」など、第一回目にお伝えした内容をふり返りながら、海と漁業のサステナビリティにおける課題について深掘りしていきました。さらに、サステナブルな漁業に欠かせない「水産資源の管理」の基本的な知識についても解説をしていきました。

UMITO Partners 岡本:

  • 水産資源管理とは、人間が魚を捕る量、場所、取り方などを工夫すること。目的は、魚が増えるスピードより人間が魚を獲る量を多くしないことにある。
  • 日本には、地域や魚種によって水産資源管理の仕組みがいくつか存在する。地域ごとで漁業協同組合によってルールが決められて管理される漁業もあれば、都道府県や国が管理する漁業もある。さらに、国際機関によってルールが決められる魚種もある。
  • 水産資源管理の事例には、「獲る量を管理」「漁業を行う場所の管理」「漁業を行う時間や時期の管理」「漁業で使う漁具の管理」「流通の管理」などが挙げられる。 資源管理は色々な要素があるが、水産資源が維持できるように、もしくは水産資源が増えることを促す重要な仕組み。

第二部

第二部では、北海道苫前町のミズダコ漁業者 小笠原さんの水産資源管理を意識した漁業への取り組み(サステナブル漁業プロジェクト)についてトークが展開されました。

苫前町のミズダコについて、小笠原さんがサステナブルな漁業に興味をもったきっかけ、実際にミズダコ 樽流し漁 サステナブル漁業プロジェクトに取り組むことになった動機など、プロジェクトが立ち上がってから現在までの5年をふり返ります。

ミズダコ漁業者 小笠原さん:

    【苫前町でサステナブル漁業に挑戦】:

  • 苫前町の人口は約2750人。2019年は3000人くらいだったが、顕著に人口が減っている。漁業を生業にする立場から、漁村を活気づけたい、いつまでも漁業が続く町でありたいという想いを持っていたところ、UMITO Partners村上さんとの縁が生まれ、サステナブルな漁業について知った。

  • 苫前町にとって漁業は基幹産業。資源の枯渇は町の死活問題。こうした不安を払拭して、漁業を通して町を良くしたいというのが、サステナブル漁業プロジェクトに取り組むきっかけ。プロジェクトへの協力を得るため、周囲を説得することが一番大変だった。

  • 【サステナブル漁業プロジェクトの取り組み】:

  • プロジェクトでは、漁業者が漁獲データをとり、そのデータを元に地域のタコがどれくらいいるのかという数値をUMITO Partnersさんの調査分析部が科学的に分析。それを受けて、プロジェクト参加者でミズダコの自主的な資源管理のルールを決めていった。

  • 苫前町のミズダコは漁獲量が減っているわけではないが、実際の資源量は分からない。こういう状況で、どんどんミズダコを獲っていくと、いつかはミズダコがいなくなってしまう。例えるならば、銀行口座にどれくらい預金があるのか分からないのに、気にせずにお金をつかってしまっている感じ。だからこそ、資源が枯渇する前に、科学的根拠に基づいた資源管理をすることが大切だと思う。気づいた人からできる事を始めなければ、未来は変わらない。


  • 【ほんとうにおいしいミズダコへのこだわり】:

  • サステナブル漁業プロジェクトで漁獲したミズダコの価値を高めるために、ミズダコの神経締めや血抜きをしている。その日の気温やタコ自体の温度を測りながら、茹でるところまで行っている。その手間暇やこだわりが、本当においしいミズダコ=価値の高いミズダコを提供できる秘訣。僕たちのミズダコはみずみずしくて、フレッシュな感じの食感。味もクセが少ない。

第三部

第三部では、小笠原さんが取り組んでいるサステナブル漁業プロジェクトは何を目指してどこへ向かうのか?という未来のことに話題が移ります。

ミズダコ漁業者 小笠原さん:

同じプロジェクトの参加者でも、一人一人考えが違う。認証取得に限らず、漁業に対する意識や考え方も千差万別。そういう意味では、ゴールがたくさんある。しかし、海の様子を見ながら今何をやるべきなのか、それぞれが苫前町という漁村をどうしていきたいのか、まずは意見を伝え合える関係性を作っていくことが重要。

UMITO Partners 岡本:

ミズダコのサステナブル漁業プロジェクトでは自主的な資源管理の仕組みを、様々な関係者との協議を通じて作りあげてきた。漁業者が主体となって、自分たちで資源管理のルールを定めて実行するというのは画期的なこと。日本の沿岸漁業では新しい資源管理の枠組みが生まれている最中だが、苫前町という小さな地域で行っている資源管理のルールが、地域を越えて、全国に良い事例ということが評価され、横に展開していくことを期待したい。 そして、その漁業者たちの取り組みを陸でも応援する体制も必要だと思う。

FOOD&COMPANY 盛岡さん:

漁業をサステナブルにするためには、皆がつながり、サステナブルな未来を目指していくことが大切なのだと改めて思った。

最後のQ&Aでは、参加者からの「次世代に漁業をどのようにつなげていくのか」という質問を受けて有意義な意見交換が行われました。

参加者:
漁業をサステナブルにするという観点から、漁業が次世代に引き継がれていくことも重要だと思う。小笠原さんの次の世代が漁業に興味を持ってくれるような仕掛けについては、どうか?

ミズダコ漁業者 小笠原さん:
僕よりもさらに若い世代には、早いうちから「自分には何ができるのか、何をやりたいのか、何をやるべきなのか」をまずは想像させてあげることが大切だと思う。
僕らのやり方を押し付けるのではなく、次の世代ができるやり方でやりたい事を彼ら自身が考えることを大事にしたい。

参加者:
後継者不足に悩む漁業者は少なくないと思う。でも、いつまでもおいしいミズダコが食べられるように、ぜひ頑張ってほしい。わたしたちも食べることで、その取り組みを応援したいと思う。

以上をもって、第二回のオンライン・イベントが終了しました。次回は、第三回のオンラインイベント(東京湾スズキ)についてのレポートをお届けします。

【関連記事】
第一回オンラインイベント レポート
第三回オンラインイベント レポート

お気軽に
お問い合わせください

ネイチャーポジティブやブルーカーボン、洋上風力における漁村振興やサステナブルシーフードにおける
取組、講演・登壇など、SDGs(目標14:海の豊かさを守ろう)に貢献されたい方は
以下フォームにてお気軽にお問い合わせください。